映画

「サンドラの週末」・ダルデンヌ兄弟監督・ネタバレ感想

「サンドラの週末」は、カンヌの常連、ダルデンヌ兄弟の作品です。
この監督の特徴は、無駄を極力削ぎ落とし、ドキュメンタリーのように
登場人物に寄り添いながら、ストーリーを進めていくところです。
エンタメ系とは程遠い作品ですが、結構、好きな監督です。
でも、今回はちょっとなあ……と思ってしまいました^^;

設定が、きびしいなあ、と思ったのです。

鬱病で休職していたサンドラが、そろそろ復帰しようかというところで、
職場から解雇通告されてしまいます。
復職するためには、同僚の過半数がボーナスを諦めることに同意しなければなりません。
生活が苦しいサンドラは、調子が優れない中、週末を使ってなんとか同僚16人の家を回り、
説得していく、という内容です。

サンドラはまだ完治したとは言いがたい状況で、ちょっとしたことでもショックを受け、
呼吸困難になるような状態。過酷すぎます^^;

サンドラは、長いこと休職していたのです。
その間、同僚16人でカバーしながらやってきたのです。
社長は、サンドラは要らないという。
そして無理目の条件を告げる。
こんな条件で投票するとなると、普通、他人の復帰よりも、
自分のボーナスを取るのではないでしょうか?

サンドラも生活が掛かっていますが、同僚たちもそれぞれお金が必要な理由を説明します。
みんな、決してお金持ちではありません。
平均的というか、平均よりちょっと下の生活水準の同僚たちが、自分のボーナスを取るのが、
まったく当たり前のことに思えたので、ちょっとサンドラさん、それは無理ですよ、
と思ってしまったのです。

むしろ、サンドラの復帰に一票入れるよという人の方が、奇特過ぎる気がしました。

で、サンドラさん、同情はしないで欲しい!とか言っていてすぐに呼吸困難になるのですが、
うーん、甘え過ぎるよなあ、と思ってしまいました。
どう考えても、彼女がやっていることは、同情票を求める行為なのですから。

で、そんな彼女に社員みんなの元を回らせる旦那もどうかと思いました。
むしろ、この職場は諦めて、新たな転職先を一緒に探そう、と言ってやればいいのに、と思ってしまいました。

マリオン・コティヤールはひ弱なサンドラを見事に演じ切っていた分、
この役どころがかなり辛かったと思います。やってる本人まで鬱になりそうな雰囲気。
それぐらい、マリオンはサンドラになりきっていてリアルでした。

サンドラさん、最後は自殺未遂までするし。

もしかしたら、サンドラの前では復帰に賛成とか言っていたけど、
いざふたを開けてみると、賛成票はゼロでした、とかいうオチがつくのかな、と思ったら、
賛成を表明した人は、正直にみんな賛成票を入れていました。
うーん。。。みんないい人たちだ。。

結局、8対8。過半数は獲得できなかったので、サンドラはクビになりました。

逆に、よくこの状況で8票も集められたなあ、とむしろ感心するような流れです。

で、サンドラは会社を去るが、なんだか表情はサバサバしていて明るい。
希望に満ちた表情になった、というところで映画は終わります。

うーむ、この週末、ここまで苦労して、嫌な思いをして方々働きかけなくても、
さっさと転職を考えればいいのに。とやっぱり思ってしまったのでした。

演出や人物の動きは素晴らしく、やっぱり才能があるなあと思ったのですが、
そもそもの出発点、設定に無理があって説得力を欠いたな、と思ってしまったのでした。

-映画
-

//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js