コリアタウン殺人事件という何とも不思議な映画をアマゾンプライムで見ました。
プライムビデオの紹介欄には。。
「監督:わからない」
「出演者:わからない」
などと書かれていて、何これ!?と思ったのですが、見ている最中もずっと、何これ?!という感じでした。笑
自分はいったい何を見せられているのだろう?という感覚で見続けることになります。
この話の最後はどうなるのだろう?
ちゃんとた終着点が用意されているのか?
という興味というか、好奇心が見る人を最後まで見続けさせることになるのです。
なぜ監督名が記載されていないのか?
それは映画を見れば理由が分かるようになっています。(終盤)
まあ、これも手法のうちなんですね。
POVホラーというジャンルです。
POVというのはPoint of View の略で、主眼視点ですね。
「ブレアウィッチプロジェクト」とか「クローバーフィールド」のような撮影手法をイメージしてもらえると分かりやすいです。
アメリカ、ロサンジェルスのコリアタウンに住む主人公。
近所で妻が夫を殺害するという殺人事件が起こり、なぜかこの殺人事件のことが気になり、真相を追って行くというストーリー。
主人公はカメラで撮影するだけで彼の姿は見えません。
ブツブツ独り言をしゃべるのがナレーションがわりになっています。
後はその辺で寝ているホームレスとか近所の住人に話を聞くことでストーリーは進んでいくのですが、
真相に近付いている感じが一切しない。笑
コリアタウンと言っても、ハングル文字の看板があふれているわけでもなく、
そもそもお店がほとんどない寂れた地区。
大通りがあって、住宅が建っているだけ。
美しくもない住宅街。通行人もほとんどなく、閑散とした街の雰囲気。
そんな冴えない街で、ほとんど無関係そうな冴えない人たちに話を聞いていく。
一応、主人公がなぜか不審に思い気になりだすハングルの落書きとか、新興宗教の看板を持った男とか、
アパートのオーナーとか住人とか、新興宗教の牧師とかにターゲットを絞っていきますが、どうも単なる思い込みに見える。
別に面白くないんだけど、かといって途中でやめようとも思わず、ただただ事の真相というかこの映画のオチはどうなるのかが気になって結局最後まで見てしまいました。
展開がまったく読めません。
「何が起こるのか!?」というのもありますが、それよりもこの主人公は本当に大丈夫なのか?
という思いの方がだんだん強くなってきます。
そして、やっぱりこの主人公はイカレてるのか??と確信を持つようになってきます。
近所の住民は口数が少なかったり、不愛想だったり、あまり多くを語ろうとはしません。
話してくれた人が何人か殺されたり、自殺したという事実を後で聞かされ、主人公は狼狽していきます。
そして、もうあんまり首を突っ込まない方がいいわよと言っていた主人公の彼女も姿を消します。
そして、主人公も。。。最後に残されていた何枚かの写真に写っていた物とは。。。!!
だいたいなぜこの殺人事件をここまで主人公は追う気になったのかも謎です。
失業していて転職活動もうまくいってないから、事件を追う時間は有り余っています。
でも殺人事件の夫婦は事件を伝える写真のみでしか登場せず、
韓国人かどうかも分からないような名前です。
そもそも題名にある「コリアタウン」である必然性がほぼありません。笑
アメリカ郊外のちょっと寂れた街で起こっていてもいいし、いくらでも入れ替えは可能なような気がします。
しいて言えば、読めないハングル文字が壁に書かれていたり、ソファーにずらずらと書かれていたりするのがアメリカ人にとっては不気味さが増すのかもしれません。
でも一番不気味なのはやっぱりカメラを持っている主人公です。
ちょっと極端な思い込みの強い、不安定な人間の視点で話が進行していくものだから、見ている側もだんだん不安が募ってきます。
そして、ノイズのような街の音、何かエコーで響いてくるような奇妙な効果音がじわじわと不安を募らせます。
霊媒師の所へ行ったり、アパートオーナーに追い払われたり、行くなと言われた貸し倉庫に行こうと思い立ったり。
ただ、そういう危機感が迫ってくるという演出はほぼなく、
主人公はただの一般市民なので、あまり踏み込むこともできず、アパートを遠巻きに見ていたりする方が多いです。
アパートの前で人を待ち伏せしたりとか。
しかもそれで出会えることもほぼなし。
面白いのか面白くないのかと聞かれれば、うーん。。と答えるしかないのですが、
最後まで見せる手法はすごいと思いました。
そして理由があっての伏せられた監督名。
出演者の名前も分からず。
出演者は役者なの?
本当に近所の人なの?
それぐらいリアルに見えるのですが、濃すぎる人が何人かいるのでたぶん役者さんなんでしょうけど、なんかうまく効果が出ています。
製作費100万円と言われても、え?いったい何処に予算を使ったの?と思えるような映画。
もしかしたら製作費0円なんじゃないの?と思えるような映画。
でもこれがアメリカや日本のアマゾンプライムに置いてあることが凄い事なのだと思うのです。
誰かが事件を追うドキュメンタリータッチの映画を思いついたことを呟きながら映像にしたとしても、
ホームビデオの域を越えないわけで、アマゾンプライムにはもちろん置いてもらえないわけです。
やはり戦略が優れているのでしょうね。
どのぐらい儲かっているのかはまったく分かりませんが、そもそも製作費がほとんど掛かっていないような作品が、
どういういきさつでアマゾンプライムに置かれるようになったのか。
どんなプロモーションをしたのか。
そういった点がとても興味深いです。