「パラサイト・半地下の家族」ポン・ジュノ監督
ポン・ジュノ監督作品なので見に行きたかったが、コロナの自粛がはじまりタイミングを逃してしまいました。
でも、もう早アマゾンプライムで見れる! 早い!
いやあ、すごかったです。。。。恐ろしいぐらい面白かった。。。
パラサイトもういきなりここからネタバレでいきます。見てない方は見てからお願いします。
前半は予想に反してコメディ調が強く、テンポよくどんどん金持ち家族の家に貧乏家族は入り込んでいく。
当然入る時に働いていた人を追い出すことになる。
その下りが、そんなにうまくいくか?!という疑問を挟ませない演出。
コメディ調でポンポン行くところは、監督のストーリーテリングの自信の表れだと思いました。
さて、貧乏家族全員放り込みました。
で、金持ち家族がキャンプに行きます。
キャンプに行く日が映画が始まって55分弱。
2時間12分の映画なので、このひと晩の出来事とその翌日の誕生パーティが半分以上の時間を費やして
たっぷりと怒涛の展開を畳みかけてきます。
※「パラサイト・半地下家族」後半の怒涛の展開・ネタバレ注意!
●夜になって雨が激しくなってくる。貧乏家族は金持ち豪邸の居間を散らかし放題で宴会中。
●雨の中、クビにされた前任の家政婦が地下に忘れ物をしたとやってくる。(災難の始まり)
●なんと豪邸地下のさらに地下に隠し部屋があり(北朝鮮爆撃に備えたシェルター)そこには元家政婦の夫が長年棲みついていた。
●完璧な家政婦で、追い出されたただの被害者だと思いきや、裏でとんでもない事をしていたのだ。(そう言えばよく食べると金持ち父が仄めかしていた)
●元家政婦夫婦をさっさと追い出そうとする貧乏家族だが、逆に元家政婦に動画を撮られ脅されて形勢逆転。
●居間で余裕をかます元家政婦夫婦に隙を見て貧乏父がタックル。形勢再逆転。
●だが金持ち家族が大雨のためキャンプを中止して帰ってくると連絡。ジャージャー麺作っといて。8分後に帰るから。
●ここから怒涛の後片付け。貧乏母は調理しつつ、帰宅した家族から元家政婦を隠そうと階段下へ蹴り落とす。
●地下に元家政婦夫婦をロープでぐるぐる巻きに。元家政婦は落とされたはずみで頭を打ち付け負傷中。
●貧乏家族、脱出しようとするも間に合わず居間のテーブルの下に隠れることに。
●金持ち長男は雨の中庭のテントで寝ると言い出し、金持ち夫婦は見守るために居間のソファーに留まり、貧乏家族がすぐそばにいるとも知らずに体をまさぐりあう(結構変態)。
●そこでの会話で、貧乏父の運転手ぶりに不満はないが、妙な臭いがすると妻に告げる夫。
●「臭い」がこの映画では金持ちと貧乏の隠しきれない差異として効果的に強調される。
●その後、貧乏一家は無事脱出するが、自宅が洪水で浸水してしまっていた。
●逆流する便器の蓋を押さえるように座る貧乏長女。さっきまでいた金持ち豪邸との落差がデカすぎて絶望的。
●貧乏一家は体育館へ避難。
●避難した体育館へ金持ち家族から電話。明日長男の誕生パーティを急きょ開くからと全員招集される。
●翌日、金持ち豪邸で今までとは違い憂鬱そうな顔を引きずっている貧乏家族。
●買い物に付き合わされる貧乏父。その帰り、臭いに気付きそっと車窓を開ける金持ち妻。それに気づく貧乏父。
●もう憂鬱が隠しきれない。
●貧乏長男、地下の様子を見に行き、そこで家政婦夫婦の逆襲に合い、頭から血お流して倒れる。
●ここからもう後戻りできないバイオレンスへ突入。
このようにぐっと前のめりになりながら一時間以上の怒涛の展開に引き込まれてきます。
前半のコメディタッチとは打って変わって後半のソン・ガンホ(貧乏父)の顔は表情がなく恐ろしいです。
そして最後は貧乏人の妄想が残酷さを際立たせます。
本当にすごい映画でした。完璧。
そして何より素晴らしいと思ったのは、貧乏家族を描くときによくあるようなジメッと湿っぽい画面になりがちなのを見事に前半のコメディタッチで回避している点。
そして無垢で人のいい金持ち夫人を演じたチョ・ヨジョンが素晴らしいです。
彼女の「情愛中毒」という映画の演技を見て、ポン・ジュノ監督は金持ち妻の役をチョ・ヨジョンに決めたらしい。
ちなみにチョ・ヨジョンの体当たりの演技が話題となった「後宮の秘密」という映画もアマゾンにもネットフリックスにもありました。
後宮の秘密 (字幕版)
「パラサイト」でチョ・ヨジョンに注目した人は多いと思います。すばらしい女優さんですね。
パラサイト 半地下の家族(字幕版)はアマゾンプライムでも見れますし、DVDレンタルも始まりました。