「ニューヨーカーの暮らし方」(HBO製作)をU-NEXTで見た。
これが意外な拾いもので面白かった。
ニューヨーカーの暮らし方
ドキュメンタリー作家、ジョン・ウィルソンのエッセイ漫画のようなドキュメンタリーコメディ。
ニューヨークに暮らしながら、日常をスケッチするようにカメラを回して記録するスタイル。
ドキュメンタリー作家だがユーチューバーとあまり変わらないようにも見える。
制作費もほとんど掛からなさそうな作品だが、ちゃんとHBOが製作しているのが興味深い。
「ニューヨーカーの暮らし方」第一話は 「不動産投資の方法」28分
ジョンが暮らすニューヨークのアパート。
大家のお婆さんがアパートを売って、ラスベガスに引っ越すと言う。
まあまあボロいアパートだが、快適に暮らしてきたジョンにとって、立ち退きはショックだ。
どうしようか。アパート探しを始めるか。
いっそ、まったく新しい土地で暮らそうか。
そんなことも頭をよぎるが、ジョンはこの先もずっとニューヨークで暮らしていきたかった。
そんな時、大家のお婆さんが提案してくる。
「あんたが買わないかい?」と。
そうなればお婆さんにとっても、面倒も省けるし、今までずっと住んでくれていたあんたを追い出さずに済むってわけだ。
市場価格より安く売ってあげるよ、と。
ボロいとは言え、ニューヨークのアパートだ。
価格は9000万ドル!
今のレートだと日本円で1億3千万ほどだ!
エッセイ風ドキュメンタリー作品をちまちま撮っているジョン・ウィルソンにそんな金はない。
(見ていて絶対あるわけないよなあ、と思った)
ジョンはカメラで撮影しながら歩き回る。
果たして自分はローンを組めるのか?
いや、そもそもお婆さんは市場より安値で、と言ってくれてはいるが、本当なの?
このボロアパートに1億3千万円出すというのは、妥当な価格設定なのだろうか?
ジョンが自問自答しながら、ニューヨークを歩き回る。
いろいろな物件を見て回って、相場観を調べたり、
買うとして、自分は本当にローンを組めるのか、住宅ローン業者に話を聞いたり。
(いやあ、ちょっと無理でしょう、というのが業者の回答)
そういった反応も逐一カメラを回しながら撮影するスタイル。
こんなふうにマメに撮影していくことで、作品の素材がどんどん集まっていく。
ゆるーい作りだが、30分番組ぐらい余裕で作れる素材内容の濃さ。
いろんな人と会って、いろんな会話が生まれる。
大家と入居者の友情は可能か?とか。
(そんなのあるわけないだろ、ふざけたこと言うな!というある大家の意見が面白い)
皮肉を人形に言わせる怪しげな腹話術師がなぜか大邸宅に住んでいたりと興味深い。
「人は大人になるにつれて、成長を感じられる出来事を経験したがるものだ。
不動産投資もその一つ」
テーマ的にはとても興味深い。
物価高のニューヨークで、しがないドキュメンタリー作家がアパートを買うことができるのか?
「今までの人生で大きな責任から逃げてきた君も、ジョンと一緒に不動産投資について考えてみよう」
と番組の説明文には書いてあったが、確かに知らず知らずのうちに興味を持って見てしまっていた。
たった、28分だし、暇つぶしにお気楽に考えてみましょう、という作品だった。
全六話なので、2話以降のエピソードも見ていこうと思った。