netflixオリジナルサイトより
「クイーンズギャンビット」全七話をネットフリックスで見終わりました。
リミテッドシリーズはやっぱりいいですね。
全7話だと、サクッと終わりますし、内容的にもギュッと凝縮されている作品が多いので、当たりが多い印象。
「クイーンズギャンビット」の場合、ジャケ買いというか、まず最初に主人公の個性的な顔のアップに惹かれました。
不思議な顔をしています。
細い顔幅に少し離れ気味の大きな目。目力強めのその目がじっと一点を見据えた表情が個性的すぎます。
実際、このドラマを見始めると最初から最後まで主人公ベス・ハーモンを演じるアニャ・テイラー=ジョイの顔に魅了され続けました。
どの角度から見てもいい!
ちょっと個性が強すぎる彼女の顔が、ドラマが進むにつれてどんどん美しく見えてきます。
孤児院で暮らしていた少女が、地下の用務員部屋で用務員のおじさんからチェスの才能を見出され、トップへの道を駆け上がっていくストーリーです。
まあどうせ勝ちまくっていく一本道な話だろう?と思っていたのですが、
実際、9歳の頃から大学でチェス部の少年たちを無双していき、やっぱり天才なので負けなしでどんどん進んでいく。
とはいえ、チェスの天才ぶりの裏では、孤児院で全員に配られる緑色の薬(精神安定剤)の依存症になっていく側面が描かれていきます。
天才を描いているので、その辺の大学生や地方のランカーたちには全く負けません。
負けて研究して強くなっていくタイプではなく、もう最初から才能がある。
そしてそこには薬の力もあるのか?という見方も残している。
どんどん勝ち進んで上へ上へと突き進んでいく様子はお約束なんだけど、高揚感があり、ワクワクします。
そしてあっという間に全米でトップに立つ。
ちょっと展開が早すぎるのではないか?
もっと凄腕の相手を配してねちっこく勝負を描き、全米タイトルの階段をじっくり上がって行けばいいのではないか?
そんなふうにも思ったのですが、そこはやはりリミテッドシリーズ。
全7話でぎゅっと濃縮して描き切らなくてはなりません。
結果的にもったいぶらずにバンバン駆け上がっていく様子を描いたおかげで中だるみすることなく最後までいけたと思います。
実際、天才が勝ち続ける様子を何度も描いても限界がありますからね。
ちなみに私はチェスのルールをまったく知らないのですが、問題なく楽しむことができました。
でもチェスを知っていれば、もっと楽しめるのかな。
ただ、差し手を見て、おおー、と唸るぐらいのチェスの通なんて、観客としてほぼ想定していないはずなので、
チェスの知識ゼロでも楽しめるようになっています。
勝負していく対戦相手にも、私生活の中でも何人かのキーパーソンがでてきて、彼らはその時だけの使い捨てキャラではなく、後に再登場して楽しませてくれます。
おおー、ここで再登場か!
後半は本当にうまく作られていました。
どのキャラクターも大事に扱われるているのがいいですね。
最初はなんだこいつ、といけ好かない感じで出てくるキャラが、後々すごくいい奴だったなんていうのは個人的に好きです。
物凄く個性的な顔をしているので、誰だっけ?とならないのがいいですね。笑
チェスだけではなく、孤児院を出て養子に迎えてくれた家庭の複雑な夫婦関係。
義母の選んでくれたダサダサの服を馬鹿にするクラスメイトたち。
9歳でチェスに出会ってから、他の事にはほとんど興味を向けることを知らなかった少女の思春期。
でもそのまま成長するわけではなく、ファッションや恋愛にも少しずつ興味が出てくる。
夫に出ていかれた義母との生活の中で、チェスが経済的に生活を救っていくことになり、高校生活はおざなりになっていく。
お母さん、固い人かと思ったら夫と別れてからは吹っ切れたようないい感じになっていく。
ただ、アルコールの量が増えていく。
世界を飛び回る少女。
賞金が積み上げられていく。
洋服を好きなだけ買ったりする。
ちょっと気になる男ができたが、男側のある理由であえなく撃沈。落胆。
精神安定剤とアルコール依存。
ただ、この件に関しては他の映画やドラマではもっと深く溺れる様子を描いていたかもしれない。
一時廃人になるまで追い込まれるとか。
でも思ったほど深刻にはなりませんでした。
そこをディープに描いていくと、復活までの道のりをリアリティを持って描いていかなければならなくなるので、辛いシーンが多くなったと思います。
そういうところはさくっといくので、物語の厚みとして物足りない気もしたのですが、終盤のソ連のラスボスとの戦いが熱く盛り上がっていくので、結果的に面白かったーー!で終れたと思います。
孤児院の少女が地下室で用務員にチェスを教えてもらう、という文字通り地下のド底辺からの出発から、
トップへの階段を駆け上がっていく様子を清々しく描いた傑作青春娯楽ドラマだと思いました。
このドラマに抜擢されたと言うより、アニャ・テイラー=ジョイのために作られたドラマなのではないか?というぐらいのはまり役です。
彼女の上目使い。横顔。髪型。本当にどこから見ても飽きがこない素晴らしい女優さんだと思いました。