「アンビリーバブル たった1つの真実・第1話感想」
ひとりの若い女性(マリー・学生)が、睡眠中に侵入者にレイプされたと警察に通報する。
普通でないことが起こったのだから、彼女はかなり動揺しているように見える。
落ち込んでいるようにも見える。当たり前だ。
でもそれと同時に、どこか冷静なようにも見えるし、自分の身に起こったことが
信じられなさ過ぎて、どこか他人事のように感じているようにも見える。
辛い事件の事など思い出したくもないだろうに、警察官たちは残酷だ。
何度も何度も話さなければならない。
現場に一番最初にいた警官に話をした直後に、新たに到着した捜査官に担当官だからともう一度話をさせられる。
そして、調書を取るためにもう一度話をさせられ、自分の手で書く規則になっているからと、
もう一度最初から同じ話を自分自身で書いていくことになる。
被害にあって精神的にも疲れ切っているのに、これじゃ拷問のようだ。
そんなふうに最初は全面的にマリーに感情移入しながら見ていくことになるのだが、
義理の母親の話あたりから、徐々に見方が変わってくる。
たしかに。彼女の態度はどこか冷静すぎる。
あんなことがあったのに、どこか他人事のようにも感じられる。
するとドラマの展開は徐々に風向きを変えてくる。
この子の言っていることは果たして真実なのだろうか?
もしかして注目されたくて嘘をついた?
彼氏と別れたこともその理由になっている?
彼女のひどい過去も影響している?
見ている側はだんだん分からなくなってくる。
どっちが真実なのだろうか。
いや、どちらかと言うと彼女の狂言ではないか?とほぼ疑い始めている。
タイトルの「アンビリーバブル・たった1つの真実」。
いずれにせよ、真実は1つ。
彼女が実際にレイプされたのか、それともそれは嘘なのか。
後半、警察の詰問に動揺し、一旦、被害を取り消す。
でももう一度、被害届を出しに来る。
被害の取り消しの取り消し??
警察もタダで動いてるんじゃないんだぞ?
嘘発見器に掛けてもらいたい?
だったら掛けてもいいが、ただし、そこで嘘と判定されたら偽証罪に問われるよ?
それでもいいの?
そうなると今掛かっているカウンセリングも取り消されるよ?
どんどん追い詰められて、やっぱりいいです。と被害届を取り消すことに。
そうすると、なぜ嘘をついたの?
みんなすごく不安になったんだよ?
どういうつもり?
と同じ寮に住む生徒たちにもガンガン責められ、
仲の良かった子も口もきいてくれなくなる。
どんどん追い詰められていくマリー。
ここら辺まで来ると、彼女は嘘を言っていないに違いない。
と見ている者は思い始める。
1話のラスト、絶望したマリーは川へ飛び降りようと欄干を超えるのだが。。。
ひとりの少女の繊細な心の移り変わりを見事に追っていきます。
それがちゃんとサスペンスになっている。
どうなっちゃうんだろう、と目が離せません。面白いです。
「アンビリーバブル たった1つの真実」は、全8話のリミテッドシリーズ。
ドラマとしては短いシリーズとはいえ、嘘なのか本当なのか、というたった1つの真実を、
いったいどうやって8時間も掛けて描くのか??
とても興味深いです。